こんにちは。板橋エミール矯正歯科です。
前回は、”口腔と全身の健康の関連性”についてお話ししました。
今回は、近年さまざまな疫学的研究などにより全身疾患と歯周疾患との関わりが示唆されてきているので、そのことについてお話したいと思います。
虫歯菌は歯の表面でしか増殖することができませんが、歯周病菌は血液中に侵入して増殖できるため、血液にに乗って全身に疾患を引き起こす危険性をもっています。
例えば、心筋梗塞で亡くなった方の冠状動脈から歯周病菌が検出されたり、細菌では四肢の閉塞性動脈疾患の特定疾患(バジャー病)患者の閉塞動脈からも歯周病菌が検出されたという報告があり、難病とされている当疾患の今後にも大きく関与していることがわかってきました。さらに歯周病菌は、細胞壁の内毒素によって、生きていなくても血中にあると全身に炎症をもたらすこともあるため、さまざまな角度から研究が進められています。
実際、歯周ポケットから発見されたため、現在は歯周病菌とされていますが、このように本当の標的臓器は大好物の鉄分(ヘム鉄)が含まれる血液の豊富な血管や心臓なのかもしれないという説があるほどです。
また、循環器以外にも気道に入り呼吸器系の感染症、肺炎などを引き起こしたり、間接的ではありますが、細菌感染による炎症反応で生じたプロスタグランジンなどが子宮を収縮させ、早産や低体重児出産の要因にもなると言われています。
実際に早産や低体重児出産は、歯周病の母親に多いことが多くの研究から分かっています。その他にも、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くしたり(糖尿病)、血管の動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)に関与していたり、歯周病菌のひとつPorphyromonas gingivalis菌がもつ”ジンジパイン”というタンパク質分解酵素はアルツハイマー病悪化の引き金になる可能性が示唆されています。
このように歯周病を予防するということは、全身の健康を守る・持病を悪化させないというところに繋がっていくことが考えられます。これからの研究で、より歯周疾患と全身疾患の関連性が明らかになり、もっと多くの人が”予防”ということに興味をもってもらえるといいなと思います。